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支払停止の抗弁

今日、クレジット制度は私たちの生活になくてはならないものとなっています。割賦販売法はクレジットに関するルールを規定しています。「支払停止の抗弁(29条の4第2項、30条の4、35条の3の19)」とは、昭和59年の割賦販売法の大改正により創設された制度ですが、この制度はクーリング・オフや中途解約等の場面で手続きに深く関係してくるものです。

支払停止の抗弁(抗弁権の接続)とは、 商品販売業者や役務提供事業者と間に生じている契約上のトラブルに類する一定の事由を理由として、クレジット会社に対して代金支払いを停止することのできる制度のことです。

平成21年12月1日より、改正割販法が施行され、信用購入あっせん取引(従前の割賦購入あっせん取引)においては『指定商品制』は撤廃されました(なお、支払停止の抗弁の制度・内容自体は大幅な改正はされていません)。

改正前は、消費者がクレジット契約で割賦販売法上の「指定商品、指定権利、指定役務」を購入する契約をした場合にのみ適用が限定されていましたが、改正でこの制限はなくなり、ほぼすべての商品・役務が対象となりました。但し、施行日前になされたクレジット契約に関しては改正法の適用はありませんから、従前通り支払停止の抗弁主張は制限を受けます。

(1)そもそも、クレジット取引の種類とは?
(2)クレジットの流れ(割賦購入あっせん取引)
(3)支払停止をクレジット会社に主張できる「一定の事由(抗弁事由)」とは?
(4)支払停止の抗弁が適用されるクレジット契約とは?
(5)支払停止の抗弁の効果とは?
(6)支払停止の抗弁の主張方法

当事務所はクーリング・オフ、中途解約等について、電話相談を無料にて承ります。1人で悩まずお気軽にどうぞ。
※ まずはこちらからご相談ください。

(1)そもそも、クレジット取引の種類とは?

割賦販売法では、下記の3つの取引形態を定めています。

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取引形態
内 容
指定商品制
割賦販売取引 「自社割賦」ともいいます。販売業者自身で消費者に対して信用を付与し、クレジット契約を締結する、消費者と販売業者の2当事者間の取引です。 適用あり
(指定商品、指定役務、指定権利)
ローン提携販売取引 消費者が販売業者等の保証のもとに金融機関から融資を受け、それを商品の代金として販売業者に支払い、金融機関に分割して返済するもの。消費者と販売業者、金融機関の3当事者間の取引です。 適用あり
(指定商品、指定役務、指定権利)
信用購入あっせん取引(従前の割賦購入あっせん取引) 消費者がクレジット会社と加盟店契約を結んだ販売業者から商品を購入すると、クレジット会社は販売業者に一括して商品代金を支払い、消費者はその代金を分割してクレジット会社に支払うというもの。消費者と販売業者、クレジット会社の3当事者間の取引です。 指定権利を除いて適用なし
(指定権利を除いてすべての商品・役務が対象)

この3つを基本に、クレジットカードを利用する方式(総合方式、包括クレジット)、これを利用しないで、その都度、支払のためにクレジット契約を結ぶ方式(個別方式、個別クレジット)リボルビング方式(前月のカード利用額にかかわらず、毎月決まった額を支払う方式)が組み合わさり、合計9つの取引類型があります。

支払停止の抗弁の主張ができるのは総合方式、個別方式、リボルビング方式かを問わず、②のローン提携販売取引と、③の信用購入あっせん取引の場合です。

上述のように、③の信用購入あっせん取引はさらに包括方式と個別方式に別れますが、従来から消費者被害が多かった個別方式のクレジット業者(個別クレジット業者)に関しては、改正によりさらに規制が厳しくなっています。


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(2)クレジットの流れ(割賦購入あっせん取引)

1.消費者は、クレジット会社の加盟店である販売業者にクレジットを利用した商品購入の申込みをします。
↓
2.販売業者側では運転免許証等で本人確認をするとともに、申込書に必要な項目を消費者に記載してもらい、これをクレジット会社にファックスなどで送付します。
↓
3.クレジット会社では、申込書の情報から過去の取引状況を調査したり、信用情報機関に照会を行い与信するかを審査します。このとき申込書に記載されている住所地に居住しているか、勤務先に勤務しているか等も確認します。
↓
4.クレジット会社から消費者の自宅等に電話が入り、申込みの有無や支払額、支払い意思の確認が行なわれます。問題がなければクレジット会社から販売店に商品を販売してよい旨の連絡が入ります。
↓
5.上記の連絡を受けた販売業者は商品を消費者に引き渡します。
↓
6.クレジット会社は販売業者から申込書の原本の引渡しを受け、商品代金を一括して支払います。そして、以後は消費者が指定した支払方法により代金の回収を行ないます。


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(3)支払停止をクレジット会社に主張できる「一定の事由(抗弁事由)」とは?

下記のような場合に支払停止ができるとされています。

売買契約がクーリング・オフされた場合
売買契約が不成立の場合
錯誤や公序良俗に反する無効な売買契約の場合
詐欺や強迫によりなされた売買契約で取消権を行使できる場合
未成年者や成年被後見人などとの売買契約で取消権を行使できる場合
商品の引渡しや役務提供をしてくれない場合、商品に汚損や破損、故障、欠陥(瑕疵)がある場合、あるいは見本やカタログ等と現物や役務内容が異なる場合
商品の引渡しが遅れたため購入した目的が達せられない場合
エステなどの特定継続的役務提供契約の中途解約があった場合

但し、クレジット会社に抗弁を主張することが下記のように「信義誠実の原則(信義則)」に反する場合には、これが否定されることがあります。

(1)商品を購入する意思がないことを隠して、友人・知人等に名義を貸して契約者となった場合
(2)販売業者と消費者が共謀して、架空の売買契約を締結した場合
など


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(4)支払停止の抗弁が適用されるクレジット契約とは?

下記の全てにあてはまる場合です。

信用購入あっせん取引によって商品・役務及び割賦販売法の政令で指定している指定権利を購入した契約であること
注:従前は「割賦販売法の政令で指定している指定商品・指定権利・指定役務を購入した契約であること」が要件でしたが、上記に変更されました。
2ヶ月を超える取引であること
注1:従前は「2ヶ月以上でかつ3回以上の分割払いであること」が要件でしたが、上記に変更されました。
注2:これにより、ボーナス一括払いも対象になりました。但し、マンスリークリア(翌月一括払い)については従前と変わらず、そもそも割賦販売法の適用はありません。
分割手数料を加えた支払総額が4万円以上(クレジット契約がリボルビング方式の場合は38,000円以上)であること
注:この部分の改正はありません。
契約者にとって商行為でないこと
注:例えば、商売用のものを購入した場合や転売目的で仕入れた場合などはダメだということです。しかし、個人が連鎖販売取引販売取引業務提供誘引販売取引で商品等を購入していた場合にはこれに該当せず、支払停止の主張ができます。
抗弁事由(上記の表①~⑧)があること


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(5)支払停止の抗弁の効果とは?

クレジット会社に対して支払停止の抗弁を主張すると、販売業者との間に生じている上記の抗弁事由が消滅し、解決するまでの間、代金の支払いをストップさせることができます。

しかし、注意すべきは抗弁事由が消滅すると、その後はクレジット会社に対して支払いを再開しなければならない義務が残っている点です。支払いを止めるだけで、支払義務自体が消滅したわけではなく、さらに既払金の返還請求もできません。なお、本改正により、一定の場合には、既払金の返還をクレジット会社に直接請求できる旨の規定が新設されましたが、これは「個別クレジット」の場合にしか適用がなく、クレジットカード(包括クレジット)を利用した場合には制度の適用がありません。

この既払金返還の制度については詳しくは「 割賦販売法の改正点」のページを参照。

なお、従前は抗弁を提出しても、引き続き請求してくるクレジット会社の例もありました。『売買契約とクレジット契約は別個の契約である』ということからですが、本改正で、クレジット会社にも苦情に対する適切・迅速な処理等が条文で義務付けられましたので、今後は少なくなるかもしれません。

通常、クレジット会社が抗弁の主張を受けると販売店へ連絡し、販売方法等を確認したうえで引き落としを止めるということが行なわれます。しかし、申出の時期によっては引き落としのストップが間に合わないこともあります。ですから、誤って引き落されないように、あらかじめ引き落とし口座の残高を減らしておくという方法をとっておいたほうがよいと思います。ちなみ、この口座残高を減らすという方法は債務整理の現場では当たり前のように行われている方法です。また、銀行によっては、特定のクレジット会社からの引落しだけをブロックしてくれることもありますから、公共料金等の引落しとの関係で残高を減らすことが出来ない場合は口座を開設した銀行に相談してみるべきです。

販売業者と消費者との間で、売買契約を消滅させるといった結論に至った場合には、販売業者はクレジット会社にキャンセル伝票を提出してクレジット契約を解約し、一括で支払われた代金を全額返還することになります(赤伝処理)

そして消費者は販売会社ではなくクレジット会社から既払金の返還を受けることになります。なお、消費者契約法等で売買契約を取消した場合、クレジット会社は売買契約取消しの効力を主張できない「善意の第三者」にあたりますから、すでに支払った代金の返還をクレジット会社に直接請求することはできません。もし返金がなされないといった場合は、販売業者に対して不当利得により返還請求をすることになります(但し、本改正により、一定の場合には、既払金をクレジット会社に直接請求できる旨の規定が新設されたのは上述のとおりです)


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(6)支払停止の抗弁の主張方法

クレジット会社で、どの顧客の案件かを判断できるように販売店の名称・所在地・電話番号、商品名、契約番号、代金等を示し「販売業者との抗弁事由が消滅するまで支払いを止めます」といった旨を伝える内容の書面を送付します。この場合も配達証明つきの内容証明で行なえば確実です。

次に先述のとおり、自動引き落とし用の口座の残高を減らしておきます。

なお、クレジット会社によっては、所定の様式の「支払停止の申出書」を送付してくることもありますが、送付されてきた場合は速やかに所定事項を記入した上で返送して下さい。なお、この申出書の記入自体はさほど難しいものではありませんが、気になる方は一般社団法人日本クレジット協会のホームページで記入例を確認できますから、参照してみてください。


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*消費者庁イラスト集より